教育学部の学生にとっての本活動

鹿児島大学教育学部美術専修の場合

 

本活動は2013年に作成した《たねがしま座》企画案に「作家と南種子町民、大学生と地域、芸術家と科学者等の交流を生み出すことを目的としたワークショップを実施する。」と記し、起案当初からワークショップ等の教育活動を計画していた。更に、ワークシート上に既定された星を自由に線で繋ぎ、新しい星座を考案して絵を完成させる内容を提案した。星の位置は南種子町の8つの小学校と種子島宇宙センターの位置関係に等しく、《たねがしま座》制作プロジェクトで地上に描き出す「星座」が町内の全小学校が舞台となる構想としてまとめられた。鈴木は鹿児島県内で美術専修の教育研究に携わる鹿児島大学教育学部 清水香准教授に協力を依頼し、2013年5月より同大学と金沢美術工芸大学の交流をスタートさせた。鈴木は2013年8月12日種子島宇宙センター宇宙科学技術館にて「たねがしま座プロジェクト/コンセプト展示」を行い、鹿児島大学の学生5名と教員1名(清水氏)が展示やワークショップの実施に協力した。翌2014年10月20日─23日に南種子町内8校の児童288名が参加した「種子島宇宙芸術祭プレイベント2014 こども宇宙芸術教室」では、鈴木、大木が同大学教育学部学生4名と協力してレクチャーとワークショップを成功させた。人工衛星による南種子町の撮影が行われた同年12月26日には、金沢美術工芸大学の学生11名に加え、同大学の学生2名が合流し《たねがしま座》の制作において、初めて学生間交流がなされた。活動後に集めた学生アンケートからは、

「地域に合った学びは子どもたちの意欲をかきたてる。実際、教室での導入時から子どもたちの食いつきが凄くて驚いた。」[教育学部2年 田中優佳子]

「今回のような活動を続けていくことで、子どもたちの持つ興味や知識の幅が広がり、より経験値を高め、学びを豊かにできるように感じます。」[教育学部2年 飯田絵理]

といった、教育学的な評価が得られた。この活動が科学や芸術の導入教育として機能すると同時に、教育者を育てるプログラムとしても機能した可能性がうかがえる。

(前略)この活動は実際に絵を描くだけで終わらず、人間リフレクタ、自分自身も星座の一部になれる企画がありました。子どもがどうやったら、自分が星座の一部で映るようになるのか想像力をはたらかせて工夫していたことが面白かったです。これは、事前に綿密に打ち合わせをして、どうやったら人間リフレクタは映るのか試してから行ったので、子どもたちにもとても説得力があり、頑張って望んでくれました。やはり、実際に体験することで美術の表現したことが実現するので、思考したことを行動するという勇気がいることを子どもたちは楽しんでやってくれました。私自身も子どもの発想にふれられたり、想像力の豊かさに感動したり、人間リフレクタが映るのかドキドキすることを肌で感じられて貴重な体験が学べました。[教育学部2年 中俣満理奈]

(前略)本番終了後の食事時に解析結果を見た時、胸が一気に熱くなったことを、今でも鮮明に覚えています。このプロジェクトは、私たちにとってもですが、子どもたちにとっても印象深い経験になるのではないかと思います。種子島の子どもたちの宇宙に対する興味・関心が高いことは、10月の活動でもうかがえましたが、「自らが星座の一部になれるかもしれない」ということで積極的に活動に取り組む姿勢から、子どもたちの活動への意欲が高まっていることが感じられました。この活動に対しての意欲の高まりが、子どもたちを夢中にさせたのだと思います。また、子どもたちが懸命に思考を凝らしながらポーズを決めている姿を見た時、私自身も「子どもたちの期待に応えたい」と、このプロジェクトの成功への意欲が一層高まりました。参加した人たちが全力で取り組んだ結果が、成功となって返ってきて本当に嬉しく思います。[教育学部2年 飯田絵理]

 

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