人工衛星で描く流星アニメーション
コンセプト
人は宇宙から地球を眺めることで「Overview effect(概観効果)」を獲得するといわれています。本企画は宇宙の視点から自らを眺める道具として人工衛星を利用し地上に無数の星空と流星を描き出すアートプロジェクトです。「だいち2号」は電波を利用して地球を観測する人工衛星で、本企画ではこの人工衛星の衛星画像を解析し強調することで都市のダイナミックな変化と〈自らを宇宙から観ようとする〉人の意思とアクションを抽出し作品化します。街で出会う風景の僅かな変化(新しい建物、過ぎ去る電車、川岸の船)が作品上では「星空」に変換されます。また宇宙から自らを観ようとした人のアクション(自作電波反射の配置)は「流星」となって描き出されます。私たちは本企画が最先端の地球観測技術と準天頂衛星による高精度測位技術の活用による新しい美学的体験の提供と芸術表現の創造の場となり、宇宙科学技術によって得られる疑似的な概観効果が私たちの社会・生活について能動的に思考する機会を提供すると考えています。
実施の工程
・活動を実施する地域に向けて活動の概要と制作手法を紹介するレクチャーを実施する。
・ハンドメイド電波反射器が配置可能な条件を満たす場所を調査(フィールドワーク)し、主催者が決定した撮像イベント実施場所の使用許可を取得する。
・参加者を募り電波反射器などを製作するワークショップ開催する。
・陸域観測技術衛星「だいち2 号」のスケジュールに合わせて電波反射器を配置し、これらを人工衛星から撮像する。
・1 回目に人工衛星から撮像した同じエリア内に、再び電波反射器を配置し2 回目の撮像を行う。その際、1 回目に電波反射器を配置した直線の延長線上のずらした位置で2 回目の配置を行う事で地上絵アニメーションを描く。
・取得した衛星画像から速報イメージを作成し、参加者らに結果を報告するとともに平面作品を制作する。
・2 回の衛星画像を編集し、直線上にずれて交互に表示される「流星」を模したアニメーションを制作する。
・展覧会を開催し、製作した作品と活動内容を公開する。
「だいちの星座」プロジェクト/鈴木浩之+大木真人
〈主な受賞・発表歴〉
2008年、2010年 文化庁メディア芸術祭/アート部門/審査員推薦作品
2010年 文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業
2016年 茨城国際芸術祭 KENPOKU ART 2016
2019年 文化庁メディア芸術祭/アート部門/審査員推薦作品
2019年 アルス・エレクトロニカ 2019/キャンパス
2019年 文化庁 文化芸術による子供育成総合事業 採択
2020年 おさなごころを、きみに/MADD./東京都現代美術館
「だいちの星座」プロジェクト活動報告書 2013-2017(PDF)
人工衛星で描く流星アニメーションの活動にいたるまでの地上絵制作プロジェクトの変遷は『「だいちの星座」プロジェクト活動報告書2013-2017」に詳しく記載されています。